コンテンツまでスキップ

花王「ファンテック Lab&Biz」

 

リアル店舗で深いブランド体験・興味喚起を促し、ECへの流入を促進

4.22~5.31 花王FUNTECH_1

「ファンテック Lab&Biz」は、花王の新規事業プロジェクトから端を発した、花王発のオープンイノベーション・プラットフォーム組織。従来の枠にとらわれずにアイデアや技術を公募し、それらを結び付けるハブとなり新しいワクワクを提案することを目指している。

これまであまり目が向けられてこなかった、個の深い悩みを解決し満足度を高める「N=1 起点のサービス開発」行っており、2021年4月に、おへその汚れを除去する『SPOT JELLY へそごまパック』と、足のニオイ汚れに悩む方に向けた『ARGINISTA 足ラボ石けん』を数量限定で発売した。

両商品は、ECモール「楽天市場」に新設された「新商品コレクション」にて、オンラインのみで販売。オフラインで商品を体験できる場、また「ファンテック Lab&Biz」の事業コンセプトを発信する場として、b8taのエクスペリエンスルームを活用した。
 

オンラインだけでは伝わりづらい商品価値をリアルな接点で補う

花王の商品は通常、一般流通でドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店で販売されているが、今回発売した『SPOT JELLY へそごまパック』、『ARGINISTA 足ラボ石けん』はオンライン限定販売だ。花王にとって新たな挑戦となるこの取り組みには、オンラインの購買データをもとに事業予測を行い、商品開発・商品改善に活かすという狙いがあった。

この取り組みを推進する、花王・DX戦略推進センター ECビジネス推進部 部長の生井氏はこう話す。

“今回の限定商品販売は、オンラインの購買データをもとに事業予測をして、「お客様が困っているN=1起点の商品開発を行う」という狙いがありました。しかし、オンラインだけでは取れないお客様の声や、伝達しづらい商品価値があるので、それを補うためのリアルな接点として、b8taさんでも展開をしたんです。“
花王・DX戦略推進センター ECビジネス推進部 部長 生井氏
 

リアル店舗の行動データをファネルごとに分析

b8taへの出品で、「リアル店舗の定量・定性データが取得できたことが、大きな収穫だった」と話す生井氏。これまでの一般流通・小売店では難しかった、来店客の行動や興味関心の可視化が初めて実現したという。

“b8taさんは、データからお客様のインサイトがわかるのが良い。小売店やリアル接点のデータを集めるのって、すごく大変なんですよ。従来の小売店ではできなかったデータ収集が、b8taさんではできる。これはビジネスのトランスフォーメーションだと思います。“

b8taでは、来店客のデモグラフィックや、インプレッション(製品の前を通り過ぎた人の数)、ディスカバリー(製品の前に5秒以上滞在した人の数)、デモ(ストアスタッフが製品デモを行った回数)などの行動データが取得できる。デジタルマーケティングのように、ファネルごとに来店客の分析ができることに、可能性を感じるという。

“リアル店舗の来店客の行動データを数値で把握できるのが、すごく有用だと思います。これまでは、自社の商品の前を通過した人数、立ち止まった人数、実際に試した人数は全くわからなかった。b8taのデータからは、興味・関心がある人、比較検討している人など、ファネルごとの数値がわかる。リアル店舗でこれができるのは画期的です。

今回、商品を販売した楽天さんの「新商品コレクション」の購買データと、b8taさんで取得した定量・定性データをマージすることで、オンラインとオフラインで一気通貫した、お客様の行動や傾向を発見することができました。“
 

来店客の生の声から、マーケティング調査では得られない「隠れたニーズ」を発見

データを分析することで、商品パッケージやECでの訴求メッセージなどの改善につながるヒントも得られたという。

“例えば、立ち止まらずに素通りしてしまう人が多い場合は、もっとパッケージで目立つようにメッセージを伝える必要がある。手に取ったけど購入に至らなかった場合は、「私には関係ない商品」と感じてしまった可能性があるので、その属性に刺さるメッセージ訴求が必要。パッケージで表現できないものは、ECやオンラインで情報発信を強化する。そういった、改善に繋げられる仮説を見い出せました。“

また、b8taテスター(b8taのストアスタッフ)が来店客からヒアリングした声・製品へのフィードバックなどの定性データからは、従来のマーケティング調査や分析からは得られない意外な発見があったという。

“b8taに来店してくれた人からのコメントで、「手術後におへその形が変わってしまい、ケアがしづらくなってしまった。だから、この商品(へそごまパック)が欲しい」というものがあったんです。商品開発の際には、事前に想定購買ユーザーの仮説を立てますが、こういったニーズは、生でお客様の声を聞かないと発見できないものですね。“
『SPOT JELLY へそごまパック』
おへその模型の展示や、おへそに関心を持ってもらうために「へそ占い」のコンテンツも用意した。
 
エクスペリエンスルームを活用し、商品単体では伝わりにくい事業コンセプトを発信
 
通常の出品区画と異なり、没入感あるブランド体験を演出できるエクスペリエンスルーム。今回は、「ファンテック Lab&Biz」のキーカラーであるアポロオレンジを基調に、事業のコンセプトやブランドの世界観を表現する装飾・展示を行った。

“商品単体の展示では、「ファンテック Lab&Biz」が目指す「N=1 起点のものづくり」や、その背景にある「お客様の小さな悩みに対してお答えする事業」というのは、どうしても伝わりにくくなってしまいます。

エクスペリエンスルームを上手く活用し、事業のコンセプトや、私達が掲げる事業の背景も含めて発信できたことは、とても有意義でした。“
『ARGINISTA 足ラボ石けん』
臭い足のニオイを嗅ぐと気絶する犬型ロボット「はなちゃん」も設置。
自分の足のニオイに関心を持ってもらう体験を提供した。
 
また、今回の展示スペースでは、臭いニオイをかぐと気絶してしまう犬型ロボット「はなちゃん」を設置。『ARGINISTA 足ラボ石けん』とともに、自分の足のニオイを実感してもらう企画も実施した。

商品と併せて、興味・関心につなげる体験コンテンツを提供する効果について、花王・ソリューションビジネス開発部 ファンテックLab&Biz 担当の佐々並氏はこう話す。

“ECでは、『SPOT JELLY へそごまパック』の方が先に完売したのですが、b8taさんの定量データで見ると、『ARGINISTA 足ラボ石けん』の方が、商品の前で立ち止まる率が高かったんです。

商品の展示だけでなく、自分の足のニオイを実感してもらう体験コンテンツなども展開したのですが、リアルでの深い体験があると、オンラインとはまた異なるユーザー行動、インプレッションやコンバージョンが生まれるというのを実感しました。“
 
花王・ソリューションビジネス開発部 ファンテックLab&Biz 担当 佐々並氏
 

わずか2週間で商品が完売。b8taをきっかけに、SNSで口コミが広がりEC購入まで繋がる

 
当初、数量限定で最大4ヶ月の販売期間を想定していた両商品だが、『SPOT JELLY へそごまパック』は、b8taでの展開開始からわずか2週間で完売。SNSでの口コミや、YouTuberが自発的に紹介するなど大きな反響があった。

“今の時代は、メーカーからのプッシュ型のメッセージでは、なかなか生活者の間で話題になりません。生活者の方が情報を見つけて、自発的に、オーガニックに発信する。この流れを作ることが、成功に導くポイントの一つだと思います。

今回は、メディアから注目を集めているb8taさんに、ファンテックLab&Bizの商品を置かせていただき、商品自体もユニークなものだった。b8taに置いて「知るきっかけ」を作ったことで商品の面白さが発見され、一般の方がSNSに投稿したり、YouTuberが紹介してくれたりと、広げることができました。

花王はずっとマスマーケティングをやってきた企業ですが、「こういうやり方もあるんだな」というのを肌で感じました。“
 
 
【b8ta活用でのビジネスへの波及効果まとめ】
  • 約4ヶ月間の限定販売予定だった商品が、b8taでの展開開始からわずか2週間で完売(SPOT JELLY へそごまパック)
  • YouTuberがオーガニックに紹介動画を公開し、48万再生をマーク。(2021年8月時点)
  • b8ta展開で寄せられたお客さまの声と、楽天の購買データを商品づくりに反映し、本発売を目指している。