ECだけでは実現が難しい顧客体験の提供とインサイトの把握
カインズ株式会社
プライベートブランド商品の魅力を都心部の方にも
カインズといえば、いわずと知れたホームセンターチェーンだが、そのプライベートブランド商品(PB)は日常のPain、不便を不便と気づかずに生活している事柄の解決をミッションとして作られている。
カインズでは単品で売れるものを思い付きで開発しているのではなく、すべての商品を「世界を日常から変える」というコンセプトのもとで開発しているのだ。
すでに郊外では知名度・認知度も高いブランドであるものの、特に都心部に住んでいる方にこのコンセプトやカインズブランドの認知、ひいてはPB品の認知自体が低いのでは、という課題感を持っていた。
b8taとのパートナーシップと様々な検証
カインズでは、2019年からの中期経営計画の一つの柱として「デジタル戦略」を掲げていることもあり、b8taのRaaS(Retail as a Service)というビジネスモデルをカインズの業態でどう活かせるかの検証や、PB開発に活かせるデータの取得、カインズ店舗内へのb8taの展開などへの意義を感じ、b8ta JapanにEvolution Venturesを通じて出資を決定、同時に新宿・有楽町の両店舗で都心部の生活者へのブランド認知拡大・イメージ変容を目的にPBの出品を決定した。
有楽町ではエクスペリエンスルームを活用し、カインズの世界観を伝えるとともにPB商品16点を、新宿でも10点のPB商品の展示・販売を行った。
その中で、どの商品が都心部の層から関心を惹きやすいのか、どの商品はデモンストレーションを行って初めて良さが伝わるのか、展示の場所を変更することでその反応がどのように変わるのか、イベントを実施するとお客様の反応はどうか、など様々な検証を行うと同時に、店頭でカインズ商品を体験されたお客様へのアンケート調査も行い、b8taでカインズ商品を体験したことでカインズの認知度やイメージにどのような変化があるかも検証した。
データの活用とカインズブランドイメージの変化
様々なPB商品を展示したことで、都心部での売れ筋商品や傾向が見えてきたことで、今後都心部に店舗展開をする際の参考情報に活用していくのとともに、カインズではb8taから提供された店頭での商品体験をした顧客の声をうけてPB商品の改良も進めている。例えば、「NECOTA」というインテリアキャットタワーは「デザインが良い」、「インテリアに合う」、などのポジティブな反応も多かった中、「入り口の穴が小さくて、大型の猫が入れない」というような意見を受け、入り口を大きくする改良を進めている。「ランドリーラック パタラン」という折り畳み式のランドリーラックも、b8ta でのフィードバックを受け洗濯物をかけられるポールをもう一つ増やす検討などを行っている。
“買った人の意見だけではなく、買わなかった人からの買わなかった理由やコメント、フィードバックが集まる点がとてもよかったです。実際に商品を体験して、最終的に購入に至らなかった具体的な理由などがあると、商品の改良や、サービスの向上に繋げやすいですね。”
株式会社カインズ 社長補佐の渡邉氏
「b8taで商品を体験した6割がカインズ来店未経験者。新規層へのリーチと体験機会を創出」
店頭で集めたアンケート調査の結果にも、b8ta活用の効果が現れていた。b8ta店舗内でカインズ商品を体験した人のうち、60%の人が過去に一度もカインズに行ったことがない人たちだったことがわかったのだ。つまり、今までカインズ商品を実際に見たことのない人たちにリーチでき、体験機会の創出ができていたということになる。
また、b8ta来店者の多くがカインズブランドに対するイメージを「デザイン性が高い」と答えており、実用性、価格以外のブランド訴求もしっかりできていたことがわかる。
“今後はこのb8ta の技術やデータ、b8ta出品で得た学びをカインズの店舗で活用していきたいと思っています。カインズに普段来られるお客様とb8taに来られるお客様は違う層の方たちなので、このまま既存の自社店舗の運営に活かしていくのは難しいが、将来の店舗戦略などに活かしていければと思っています。”
株式会社カインズ 社長補佐の渡邉氏
【b8ta活用でのビジネスへの波及効果まとめ】
- 都心部に住んでいる方への売れ筋商品や傾向を今後の都心への店舗戦略の参考に。
- 非購入者の声などを活用し、PB商品改良を進める。
- b8taでカインズ商品を体験した方のうち6割が「今までカインズに行ったことがない人」だったため、新しい顧客層にカインズの商品体験機会を創出できた。
- b8taでカインズ商品を体験した人たちの、カインズに対するイメージが「デザイン性が高い」と実用性・価格以外の価値も伝わった。