主力販路であった百貨店や量販店とは異なり、若年層や男性、料理が苦手な方々など、従来とは全く異なるお客様に商品を直接訴求
ビタクラフトは、1939年にアメリカで創業した全面多層構造のステンレス製品に強みを持つ調理器具ブランド。日本市場においても50年以上の歴史を持っており、主に百貨店を中心とした販売を行っています。
今回は、ビタクラフトジャパン株式会社の井村 親季氏に、b8ta出品の背景や効果等を伺いました。
b8ta活用の目的
課題
効果
ビタクラフトは、アメリカ生まれの全面多層構造ステンレス鍋やフライパンのブランドです。日本市場において50年以上の歴史があり、これまで主に百貨店を中心に家庭用調理器具を販売してきました。「家族の健康は家庭料理で守っていく」という理念のもと、無水調理や無油調理など健康的な調理法を推奨しています。
約2年前から、自社で運営している百貨店内の売場には置いていない新しいカテゴリーの商品などもb8taに出品しています。鍋やフライパンは日常的に使うツールなので、実際に手に取って体験していただかないと商品の良さが伝わりにくいです。その点でb8taは、体験型の魅力的な場所だと感じています。
b8taが「体験型ストア」という新しいジャンルの中でも一番勢いのあるサービスだと感じたことが大きかったです。常設店舗や期間限定のポップアップ店舗を訪れてみるなかで、立地条件の良さも実感しました。
そして何より、お客様の立場に立って店頭を見渡してみると、b8taテスター(店舗スタッフ)の皆さまの対応が本当に素晴らしく、商品知識の豊富さに驚きました。
これまで主力販路であった百貨店や量販店とは異なり、b8taでは、若年層や男性、料理が苦手な方々など、従来とは全く異なるお客様に商品を直接体験していただける貴重な機会となっています。これまでの主要顧客層は50代以上の主婦が中心でしたが、新規顧客開拓の面で大きな成果があったと実感しています。
b8taで商品を知ったお客様が実際に百貨店で購入に至るケースもあり、販路の相乗効果も生まれています。
また、b8taには百貨店の取扱店舗では取り扱っていない商品を出品することもあります。例えば、クラウドファンディングで販売する新商品をb8taに出品したり、アウトドアイベントの出展とb8taの出品を連動させるなど、新しい取り組みによる相乗効果を生み出しています。従来の百貨店での販売プロモーションとは一線を画した、先進的なアプローチが可能になります。
b8taへの出品やクラウドファンディングを本格的に検討し始めたきっかけは、昨年夏に発売したステンレスダッチオーブンの商品開発にありました。
ダッチオーブンは従来の百貨店の調理器具売り場にはフィットしにくい商品で、「どのようにプロモーションを行えば良いか」が大きな課題でした。従来の販路に捉われずに革新的なプロモーションを模索していく必要があり、クラウドファンディングを活用したり、b8taのような体験型チャネルでの展開を社内で検討するようになったのです。
従来の販売チャネルでは得られなかった貴重なお客様の生の声を収集し、商品の改善と開発に活かしています。
百貨店の販売員は売上重視になりがちなため、お客様一人ひとりの細かな感想を丁寧に拾い上げることが難しい面がありました。しかしb8taでは、b8taテスターがお客様とのコミュニケーションを通して、具体的な改善点をダイレクトに吸い上げることができます。例えば商品の使い心地へのご指摘があれば、迅速に開発担当部門と共有し、品質向上に繋げています。
ビタクラフトを熟知した従来の販売員とは違い、b8taテスターは第三者の新鮮な視点から商品を見ることができます。消費者目線に立って生の声を収集できるため、新たな気づきと改善のヒントを見つけられるのです。
また重要なのが、自社の販売員が売上最優先を使命とされるのに対し、b8taテスターは商品の紹介を主目的に置いている点です。商品の魅力を丁寧にお客様に伝えて理解を深めていくアプローチは、大変よい接客方法だと評価しています。
定期的に試飲イベントを開催し「体験」を訴求
最も大きな効果を感じているのは、従来のファン層とは異なる新規顧客層からの貴重なフィードバックを、b8taで直接収集できる点です。商品の価値や提供方法を見直す良い機会となり、新たな気づきの源になっています。
例えば、ビタクラフトのコアなファンの方は機能性や品質の高さを重視する一方、新規顧客層は分かりやすいデザインや使いやすさなど、別の視点から評価するかもしれません。そういった異なる価値観に触れることで、さらなる魅力向上につなげられる可能性があります。
まずは関西エリアでの展開についてです。同業や近い業態の店舗も含めて、「体験型ストア」自体の認知をもっと浸透させていく必要があるので、阪急うめだ本店に加えて、2店舗目を出店いただきたいです。弊社は神戸に本社を構えていますので、より直接的にb8taを活用する機会が増やせるのではないかと考えています。
また、b8taテスターの方々は、お客様との対話から得た貴重な気づきやノウハウを持っていらっしゃいます。「お客様に使っていただくためにはどうすればよいか」「こういった説明でもっと魅力が伝わるのでは」といった生の声や眠っている情報を、ブランドとしっかりと共有できる仕組みを作っていただけると嬉しいです。
お客様の声は定期的にフィードバックいただいていますが、テスターの方々が1人ひとりのお客様に合わせて対応した経験から得た意見こそ、ビタクラフトにとって魅力的で重要な情報なのかもしれません。