来店客の行動データを分析し、プロモーション施策を最適化
オンライン中心に展開するD2Cブランドならではの「店舗のメディア活用」
スタンフォード大学 睡眠生体リズム研究所の所長をつとめ、ベストセラー書籍「スタンフォード式 最高の睡眠」でも知られる医学博士、西野精治氏が2019年に設立した、株式会社ブレインスリープ。「より良い睡眠により、日本人の健康寿命を延ばし、より豊かな社会をもたらしたい」という想いで、睡眠に関する様々な事業を展開している。
同社がD2Cで展開するオリジナル寝具が、「ブレインスリープピロー」「ブレインスリープマットレス」だ。
「ブレインスリープピロー」は、西野氏の研究・知見をもとに開発された"脳が眠る枕"。抜群の通気性を持つ特種素材と独自のメッシュ構造で、脳の深部体温を下げ、快適で深い睡眠環境をつくりだす。また、3層構造と7つのグラデーション構造で、オーダーメイド枕に匹敵するほど頭にフィットするのも特徴だ。
「ブレインスリープマットレス」は、宇宙飛行士の無重力ポジションから着想を得た、究極のリラックス姿勢と、睡眠の質に関わる「深部体温」を安定させる寝床内温度コントロールを実現する最先端テクノロジー、「フロートテクノロジー」を採用したマットレス。独自の通気性と、高反発性を兼ね備えた素材と構造で、最高の睡眠を提供する。
両プロダクトは、2021年3月にb8taが開催した「リラクゼーション」をテーマとした合同ポップアップ企画に出品。その後も、エクスペリエンスルームでの体験スペース設置や、通常区画への出品を組み合わせ、b8taを長期に渡り活用している。
販売を主目的としないb8taのRaaSモデルは、D2Cブランドと親和性が高い
b8taから自社ECへの送客に成功
オリジナル開発の寝具を、自社ECでの販売を中心としたD2Cで展開するブレインスリープ社。同社のリアルマーケティング担当、新井氏によると、ブランドの注目度が上がるにつれて「試してから買いたい」という声が多く寄せられたため、初のリアルで商品を試せる場所としてb8taを活用したという。
“D2Cメインでやってきましたが、売り上げが伸びていくにつれて、Google検索で「ブレインスリープ 店舗」と検索されることが増えたり、お客様から「実物を試したい」という声を多くいただくようになりました。
また、b8taの「販売を主目的にせず体験を提供する」というモデルが、D2Cブランドと非常に親和性が高く、b8taからオンライン(自社EC)への送客に成功したとも話す。
“b8taの、Retail as a Service(RaaS)という新しいビジネスモデルに魅力を感じました。一般的な小売店は、商品をその場で売ることをゴールにしていますが、b8taは販売がゴールではありません。「お客さんが買いやすい方で買ってください」というビジネスモデルなので、私たちのようなD2Cブランドと非常に相性が良いと思います。
お客さんが商品を試せる場所を作ることで、b8taからオンラインに送客できたのは、ブレインスリープの戦略とb8taのスキームがマッチしたからだと思います。”
ポップアップ企画の様子。マットレス、ピローとも実際に寝て試せるブースを展開した。
b8taでのポップアップ展開と並行し、新商品(当時)の「ブレインスリープフロートマットレス」(※)をMakuakeのクラウドファンディングで先行販売。目標金額の約30倍となる、2,986万円を達成した。
“当初、b8taのポップアップは2021年の3月末で終了予定だったんですが、Makuakeで同時期に展開していた「ブレインスリープフロートマットレス」(※)のクラウドファンディングが4月中旬までだったので、相乗効果を期待して、b8taの出品期間を延長したんです。マットレスは、枕以上に試さないと買いにくい商品ですからね。このクラウドファンディングはブレインスリープとしては第3弾だったのですが、第1弾・第2弾よりも達成金額が大きく伸びており、かなり成功したと思います。”
※現在の商品名は「ブレインスリープマットレス」
株式会社ブレインスリープ 新井俊輔 氏
b8taで取得したデータをプロモーションの効果測定に活用
b8taでは、来店客のデモグラフィックや、インプレッション(製品の前を通り過ぎた人の数)、ディスカバリー(製品の前に5秒以上滞在した人の数)、デモ(ストアスタッフが製品デモを行った回数)などの行動データが取得できる。
ブレインスリープはこれらのデータから改善点を見出し、WEBからb8ta店舗への送客施策を強化したり、店頭のディスプレイや、b8taテスターから来店客へのコミュニケーションといった「体験の質」をアップデートしたりと、出品期間中のパフォーマンスを最大化させるべくPDCAを行った。
“来店客のデータから、インプレッションがどれぐらいあって、そこから何人が体験して、コンバージョンがどのぐらいで・・・というのが見えるので、オンラインを中心に展開するD2Cブランドと非常にマッチすると思います。
データから改善すべき点がすぐに目に見えて、打ち手を実行できたので、とても良い分析結果を得ることができました。WEBの考え方をする企業、オンライン領域のKPIを追っている企業にとっては、かなりやりやすいですね。”
また、b8taテスター(b8taのストアスタッフ)が来店客からヒアリングした声・製品へのフィードバックなどの定性データは、プロモーション施策の効果測定に活用できたという。
“弊社は、様々なチャネルでプロモーションを展開しています。SNSだけでもYouTube、Twitter、Facebook、Instagramがあり、その他にはラジオやテレビもある。お客様がどこでブレインスリープを認知したのか、今後どのチャネルのプロモーションを強化する必要があるのかなどを、b8taのデータで把握することができました。
社内では「ラジオのプロモーションの効果測定がにしくい!」という意見があったのですが、b8taに来店されたお客さんの声から、意外とラジオを聞いて認知した人が多いことがわかりました。特に年配の方は、ラジオで知って、検索してから来店しているというインサイトがありました。
あとは、購入の決め手になった点や、商品のどこに魅力を感じたかも吸い上げてもらっています。b8taのスタッフさんは、難しい商品でもお客様に伝わるように説明できる力・スキルを持った方々なので、ヒアリングの精度が高く、とても有益な情報・声が得られました。”
b8ta店舗をメディアとして活用
ターゲット層であるアーリーアダプターにリーチ、拡散
ブレインスリープのコアターゲットは、ビジネスパーソンの中でも特に頭(=脳)を使って働いている人たちで、同社はこの層を「ブレインアスリート」と呼んでいる。イノベーター、アーリーアダプターが多く来店するb8taはこの層と親和性が高く、狙ったターゲットへのリーチ・拡散にもつながったという。
“b8taに来店するような、新しいものが好きな人、ガジェットが好きな人や、「新しい商品の情報はローンチされる前に知りたい」というアーリーアダプターの方々に、ブレインスリープの商品を知ってもらうことはとても重要でした。そういう方々はありがたいことに、SNSでも積極的に紹介してくれる傾向がありました。”
また、b8taでの展開自体を「プロモーション」として位置づけ、店舗をメディアのように活用する工夫も行った。
“有楽町のb8taでは、大通りに面したウィンドウにパネルの掲出もさせていただきました。ポップアップをやる場合、もちろん売上をつくることも大事ではありますが、広告やプロモーションと同じ役割もあると考えています。そこに置くだけでブランディングができる、知ってもらえるということが一番重要だと思います。
今後も長期にわたりb8taを活用しデータを集め、プロモーション施策やマーケティングの最適化に活かすことを構想している。
“今後の展開期間ではデータをもっとためて検証し、プロモーション施策に反映していきたいです。体験や購入した人の年齢層のデータも重要ですね。データ量が増えれば、特定の世代向けにプロモーション費用を投じる判断もできるかもしれません。”
【b8ta活用でのビジネスへの波及効果まとめ】
- b8ta出品期間と同時展開したMakuakeで、目標金額の約30倍となる2,986万円を達成。
- 販売を主目的にせず体験の場を提供することで、b8taから自社ECへの送客に成功。
- b8taを通じてイノベーター、アーリーアダプター層にリーチし、SNSシェアが活性化。
- b8taで取得したデータを元にプロモーション施策の効果を検証し、パフォーマンス改善につなげた。